2019年8月8日、新たな夫婦ボートレーサーが誕生した。SG・2Vの実績を持つ守田俊介(44=滋賀)と人気女子レーサーの森田太陽(25=滋賀)だ。大の回転ずし好きで有名な守田。結婚後も2人揃って回転ずしに足を運ぶことも多いという。そこで今回は「回転ずしデート」に密着。モリタ夫妻の素顔と本音、そして“愛の軌跡”に迫った。

 ――出会いは

 守田:最初は201411月の福岡一般戦。太陽のデビュー戦。たまたま一緒だった。

 森田:実は私はその時のことを覚えていないんです。デビュー戦ということでいっぱいいっぱいでした。

 守田:2回目に会ったのはその1年後。「名前が太陽っていうの?」「同じ“モリタ”だね?」って形で話しかけた。2回目に会ったときは印象がガラッと変わってた。デビュー当時は髪が短かったし、顔も中学生みたいだったけど、すごくかわいらしくなっていた。おっとりして笑顔がかわいかった。それで「俺のこと覚えてる?」って聞いた。年齢の差もあったし彼女とかではなく友達になりたいな、と思って…。最終日に思い切って声をかけてよかった。

 森田:2回目に会った時に連絡先を交換しました。それから3か月間はずっと電話やSNSで連絡を取り合っていましたね。

 守田:その期間もすごく楽しかった。お互いのプライベートの話も聞いたりして…。会話が途切れることもなく盛り上がった。それで、また会うことになった。その前に電話で「たぶん太陽のこと好きや」って伝えた。自分の気持ちを伝えたかった。

 森田:そこから付き合い始めました。私の父はすごく厳しい人なんですけど、認めてもらって…。付き合ってから3年で結婚することになりました。

 ――8月8日に入籍

 守田:僕も太陽も8月生まれ。太陽のママもパパも8月生まれでママの誕生日は8月8日。これや!って決めた。毎年、この日に琵琶湖の花火大会もあるし…。太陽と付き合うようになってから日々の生活は華やかになりました。うれしいし楽しい。充実している。

 森田:そうですね。それは結婚しても変わらないですね。

 守田:食生活は野菜中心。昼はすしを食べるけど夜はキャベツとおかずだけ。自分で肉を焼いたりして勝手に食べてる。太陽にとっては料理のしがいがないと思う。

 森田:私一人の時は料理するけど、2人の時はほとんどしないです。

 守田:回転ずしは僕一人だと昼と夜の2回行く時もあるけど太陽がいる時は「1回だけルール」がある。

 森田:お酒は私がチューハイ一杯ぐらい。俊介さんは一口で顔が真っ赤になる。

 守田:ケンカも殴り合いはしない。言い合いもないかな。すねたりして、こっちもすね返すって感じ。僕も精神年齢や行動は子供。イタズラもする(笑い)。

 森田:でもボートレースに関してはレースのリプレーを何回も繰り返し見ている。本当に好きなんだなぁ~と思います。才能もある。同じエンジンに乗っていると思えない。すごいです。ペラの方向性は全く違います。オレに聞くなと言われます。

 守田:ペラに関しては太陽の方が立派なゲージ持っている。

 森田:俊介さんは感覚でペラ調整ができる人。私はまだ分からないのでゲージに頼ってしまいます。

 守田:一緒に練習して、いろいろアドバイスしている。言ったことをできるようになっているし、良くなっている。

 ――2020年の目標は

 守田:まず結婚式は太陽のため、家族のためにもやらなあかんと思っている。おじいちゃん、おばあちゃんのためにもしてあげたい。

 森田:結婚式はゆっくりできればいいです。

 守田:そして子供をつくることかな。子供1人だとかわいそうかな。2人は欲しい。

 森田:お互いに「太陽」「俊介さん」と呼んでいるけど思い切って違うあだ名を考える?

 守田:太陽は太陽!

 ――ボートレースの目標は

 守田:全国24場V、通算100V、2000勝と19年はやりたかったことができて一段落ついた。20年は2500勝とゴールデンレーサー賞。すでにSGメダルは2個持っている。難しいけど可能性がある。年初めの段階ではグランプリ出場は考えていない。あとからついてくるものだと思っているから…。

 森田:私は徐々にレースできるようになってきたので、A級になれるように頑張りたいです。

 守田:僕は体力的にはピークを過ぎている。あとは気持ちの問題。「あかん」と思えばすぐ落ちる。まだまだ「あかん」と思いたくないし、勝ちたい気持ちが強い。負けを認めつつ頑張るしかない。今、滋賀支部の看板は馬場(貴也)でしょう。これからは馬場についていく。馬場や丸野(一樹)とか下からの突き上げを刺激に頑張るだけ。家族のためにも、あと20年はやらなあかんからね。

 ――守田選手を語る上で外せないエピソードがダービー初優勝の賞金3500万円を全額寄付の件

 守田:あれは東日本大震災があって、すごくショックが大きくて…。そこからかな…。当時はまさか自分がSGを勝てるとは思っていなかったから。万が一、ミラクルが起きたら“全額寄付”するとオカンに話していたんや。40歳は過ぎていたけど、気持ちは持っていたからね。そしたら、その奇跡が起きた。いざSGを取ったらいろんな人から「おめでとう!」と、みんなが自分のことのように喜んでくれて。そんな(大震災の)タイミングだったし、この業界に対して『一生一度の恩返し』がしたかった。さて、どうすれば、何をすればええんか。“ヨシ! 寄付しよう”って。

 ――業界に感謝の気持ちを伝えたかった

 守田:SGを勝つと祝勝会を開くのが恒例で、やるなら500万~600万円を自腹でやらんとアカンから…。それもどうかなって…。その金額を使うなら気持ち良く寄付した方がええんちゃうかって…。“そんなら祝勝会よりも寄付するわ”ってブログで伝えたら「すごいやん」って反響が大きかった。そこから。やるなら3500万! これ以上のインパクトはない。同期の勝野竜司に「ナンボ(寄付)しようと思ってんねん?」って聞かれて、悩んでる、500万? 1000万? 半分でも半端やし、やっぱり全額するわ!って言ったら「ホンマか~!? 俺らの一生の誇りや!!」って…。

 ――誰もがビックリするすごいことをした

 守田:僕は根性がないし…。たまたまこの業界と出会えて、ボート乗ったら、こんな才能があっただけ。この業界にホンマ感謝をしている。今になったら、お金も減ったし、自腹を切ることになったけど、死ぬまでにいい意味でアホなことできたな、って自慢できる。できて良かった!

 ――お金に興味がない

 守田:そりゃ、あったらあっただけ安心はできる…。あって困ることはないけど使い方を知らん…。賞金は成績を取ったらついてくるとは思っているけど、勝ったら“いくら”とか全く考えたことないわ。

 ――回転ずしじゃなくて普通な、高級なすしだって食べられるはず…

 守田:好きなんよ、回転ずしが。安かろううまかろう!ですね。まずかろうじゃ嫌じゃないですか。高くてうまいのは当たり前。安くて回っているのを見るのが好きなんです。100円でもこんなに価値がある。おいしいし、毎日いろいろ発見している。

 ――ぶっちゃけあなたにとっての“幸せ”とは

 守田:家でのんびりしていることですかね。リラックスして何もしないとき、2人で映画を見たり。1人だと寂しいじゃない。何も予定も入らずダラダラしているのが好きです。

☆もりた・しゅんすけ=1975年8月12日生まれ。滋賀支部の74期生。京都出身。94年5月のびわこでデビュー。同年9月、福岡で初勝利。96年8月の平和島で初優勝。2003年2月のびわこ近畿地区選手権でGⅠ初優勝。15年10月の浜名湖ダービーでSG初優勝。通算101V(GI・4V、SG・2V)。19年9月に全国24場Vと通算100Vを同時に達成。同期は石渡鉄兵、勝野竜司、辻栄蔵ら。身長=172センチ、血液型=A。15年のダービー初制覇時に、優勝賞金3500万円を全額寄付して、世間を驚かせたエピソードは有名。

☆もりた・たいよう=1994年8月30日生まれ。結婚を機に福岡支部から滋賀支部に移籍。115期生。福岡出身。2014年11月の福岡でデビュー。16年4月の若松で初勝利。優出、優勝はない。同期は権藤俊光、野中一平、関浩哉、豊田健士郎、前原哉ら。身長=160センチ、血液型=A。