白井英治(46=山口)が待望のグランプリ初制覇を達成した。デビューから25年、引退した師匠の今村豊さんに、黄金のヘルメットをささげた。2着は猛烈な追い上げを見せた馬場貴也(38=滋賀)。3着は磯部誠(32=愛知)が入った。また、グランプリシリーズは宮地元輝(36=佐賀)が制し、SG初優出で初優勝を飾った。

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グランプリ出場は10度目。そして、5度目の優出で初めて、頂上決戦の先頭を走った。今までに見たことがなかった景色。かみしめながら、ゴールを目指した。97年5月のデビューから約25年。ついに、白井がグランプリを勝った。「最高でした。もう1回、勝ちたい」。すっきりした表情に涙はない。しっかり準備ができた充実感と自信がみなぎっていた。

「心技体そろった状態で来られました」。前検日にそう話した。フライング休み中の時間をうまく使い、減量も含めて、1節間の重圧に耐えるメンタル、体調は整っていた。最終日も1日かけてペラ調整、試運転を繰り返した。「展示から合っている感じがした。自信を持って走れた」。インからコンマ09の好スタートを決め、回った後の加速感も申し分なかった。

引退した今村豊さんと、ともに追いかけた夢がかなった。「初めて師匠に恩返しができたと思います」。この時ばかりは神妙な顔つきだった。14年の平和島ではトライアルから無傷の3連勝で優勝戦1枠を獲得しながら、勝てなかった。「あの時は(心技体)何もそろってなかった」。実力はありながら、ボートの神様に見放された。

8月の浜名湖SGメモリアル優勝戦でフライングを切り、苦しい立場になったが、逆境を跳ね返した先に、黄金のヘルメットがあった。「ファン、関係者に迷惑をかけてしまった。だから、最後は笑顔で終われるようにしたかった。来年は険しい道のりになると思うが、頑張っていきたい」。ボートレース発祥の地で、やっと、白井が歴史に名を刻んだ。【東和弘】