◇平山智加(37)香川支部98期

 夏の本格到来を告げるSG「第27回オーシャンカップ」が19日に開幕する。今回の舞台はボートレース尼崎。9年前、平山智加が史上2人目に男女混合GⅠを制した水面だ。今年は3月の大村クラシックで遠藤エミがV、5月の宮島オールスターでは平高奈菜が優出とSGでの女子レーサーの活躍が光る。〝打倒・男子〟の先駆者・平山が心境を明かした。

 今年は女子レーサーのSGでの活躍が目覚ましい。3月の大村クラシックで遠藤エミが歴史に名を刻む〝女子によるSG初優勝〟の快挙を成し遂げ、5月の宮島オールスターでは平高奈菜が女子で4人目(過去の3人は寺田千恵、横西奏恵さん=引退=2優出、遠藤エミ)のSG優出(6着)を果たした。そして、最近の〝女傑時代〟の幕開けを告げたのは2013年、ここ尼崎60周年記念で女子2人目(最初は1999年、四国地区選手権の山川美由紀)の男女混合GⅠ優勝を果たした平山智加だった。その平山だが、平高のオールスター優出は宮島で目の当たりにし、遠藤のクラシックVは「津(女子戦)でテレビ観戦していました。見ている方もすごく盛り上がりましたよ~。遠藤さんも平高さんもすごいですよね~」と傍観者のような感想だ。

 確かに遠藤の優勝も平高の優出もインパクトはあったが、平山のGⅠ優勝も当時は衝撃が走り、それに触発された女子は〝目指せ平山智加〟で腕や技を磨いたのだ。時代をつくった当事者が意外なほどクールなのは「今が一番のスランプかも」と自信喪失気味だから。

「私のGⅠ優勝はもう昔のことですから…。当時は勢い、ガッツ、恐怖に打ち勝つ心が今よりありましたからね。年齢的なものもあれば産休のブランクも大きくて、昔と同じターンができていないのが現状なんですよ。尼崎も2年走っていないので、情報もないし…」

 弱気なコメントは求めるレベルの高さの裏返しでもある。デビュー時からセンスの塊だっただけに、課題が一つクリアできれば、事態は次から次へ好転してもおかしくない。今や平山の代名詞となった『心を込めて』はバスケットに打ち込んだ高校時代、試合会場に張り出された横断幕の言葉であり「卒業する時に顧問の先生から『心がこもったもの、その全てが夢を実現する』という言葉をいただきました」と振り返る。選手になってからの『心を込めて』は「常に100%の力を出し切る」という強い気持ちになってレースに現れているだけに、今願うのは「いいエンジンを引きたい」の一点。快速機ゲットをスランプ脱出の起爆剤にしたいという。