ボートレース浜名湖のSG「第68回メモリアル」は28日、12Rで優勝戦が行われた。レースは、3コースからまくって先行した新田雄史が4コースの白井英治とともにフライング。人気を集めた1号艇・菊地孝平はまくられながら懸命に立て直しを図ったが、最内を差し伸びた片岡雅裕(36=香川)が2Mを先取りして独走。3回目のSG優出で初優勝を飾った。

 スタート展示で1メートルだった西風が、レースでは5メートルの南風(向かい風)に変わった。この風が大一番を左右した。Fに散った新田と白井は向かい風を味方につけようと踏み込み過ぎ、インでまくられた菊地は1号艇、そして地元の責任感からか本来の踏み込みではなかった。

 レース前に「6号艇ではチャンスは少ない」と感じていた片岡の心境にも微妙に変化が生じた。

「風が吹いたので、これは何かあるなと…。自分から攻めていけるチャンスかもしれないと思いました。あの風は結構大きかったですね」

 がぜん、ヤル気を出した片岡は「向かい風の時の景色を思い出して、自分の勘で」コンマ05の快ショットを決める。1M最内を差すと「3(新田)と4(白井)に(返還の)ランプがついたのが分かりました。隣に山口(剛)さんがいたので、2Mはしっかり回ろうと」内の山口と外の菊地を制して2Mを先取り。あとはゴールまで独走だった。

 意外な形で手にしたSGタイトルに「あまり実感できていない」と表彰式でも喜びは控えめだったが、ゴール直後のピットでは目が潤んだ。

「師匠(秋山広一)と出会った時のことを思い出したら泣けてきて…。よく育ててくれたなと。デビューしてからは『早く強くなってしっかり稼げ!』と、ずっと言われ続けました。言われていなければ手を抜く自分がいたと思います」

 SG制覇までの道のりを「ずっと苦しかった」と吐露したが、賞金ランクは3位に上昇。年末には大村SG「グランプリ」が待っており「12月まで、大村をイメージして過ごします」と気持ちをGPモードに切り替えた。