◇石原翼(25)静岡支部120期

 デビューしてから9期目の2022年前期に初のA2級に昇格。段階を踏みながら地力をつけている。A2級勝率をマークした2期はともに平均STがコンマ15とスタート力も年々上昇しており、攻めるスタイルが身上だ。

 全国区になるべく名前を売ったのが昨年6月の戸田GⅢイースタンヤング。永井彪也、関浩哉、上條暢嵩ら強豪に交じって優出を決めたのは今後につながるシリーズとなった。

「勝率のそんなにないエンジンで足的には大したことはなかった。でも、ペラを自分の形に叩き変えてからいい感じに仕上がって、あのメンバーでやれたのは自信になった」。

 次なる目標として初のA1昇格、そして初Vを意識して奮闘中。だが、多くの若手が通る道でもあるフライングの足かせによって本来の思い切った攻めを自重せざるを得なくなっている。今年5月、一昨年5月と級別審査期間が初まった直後にフライングを切ってしまったことでその後のリズムが狂いだした。

 昨年2月の浜名湖では初の優勝戦1号艇を獲得したが、服部幸男のまくり差しに屈して初Vはまたしてもお預けとなった。「勝てなかったけど、あれも自分に課せられた〝逆境〟だと考えて、次につなげられるよう頑張ってます」と前向きにとらえ、モチベーションを上げている。

 表現力は豊富でコメントを聞いていると舟券の購買意欲をそそられる若手の1人でもある。スリット近辺に力強さを感じた時は「自分だけターボがついているような感じですね」と表現。「あとの責任はすべてドライバーの腕にかかっている」と語るなどファンを〝その気〟にさせる魅力はある。

 8月の浜名湖SGメモリアルで同支部の大先輩・菊地孝平の優出インタビュー動画を見て理想の選手像を思い描くようにもなった。

「SGの前のお盆開催で一緒に走らせてもらったけど、あの時とは〝モード〟が違いましたね。やっぱり気持ちの強さが大事なんだなと改めて感じましたね。直属の先輩ではないですけど、菊地さんのようにレーサーとしてでなく、人としてもお客さんから信頼される選手になりたい」

 GⅠの大舞台で石原の軽妙なインタビューが聞ける日もそう遠くはないだろう。

☆いしはら・つばさ 1997年5月14日生まれ。静岡県出身。静岡支部所属の120期生。2017年5月の浜名湖でデビュー。同年11月のとこなめで初勝利を飾る。まだ優勝経験はない。師匠は原豊土。120期同期には前田篤哉、馬野耀、佐々木完太らがいる。