羽野直也(27)福岡114期

 ボートレース多摩川のプレミアムGⅠ「第9回ヤングダービー」が20日に開幕する。トップレーサーの登竜門と称されるように、30歳未満の成績(勝率)上位選手が集結。意地とプライドをかけた激しい同世代対決が繰り広げられる。ボートレースの新時代をつくるのは誰か――。ビッグレース恒例のカウントダウンコラム「時代を創れ!」第1回は、昨年の覇者で実績最上位の羽野直也が大会への意気込みを明かす。

「今年に限っては唯一、僕だけがそれにチェレンジできる。狙っていきたいですね」。昨年の徳山大会覇者は、今大会への思いを力強くこう語った。

 2014年に新鋭王座決定戦からヤングダービーにリニューアルしてから過去8回。これまで2回以上、優勝した選手はいない。もちろん連覇も大会初となる。

 デビュー3年目となる2017年10月の大村65周年記念でGⅠ初制覇。今年3月の若松69周年記念では、2つ目のGⅠタイトルを手に入れた。GⅠは13優出3V。SGも常連となり、2020年の宮島グラチャンでは優出も果たしている。間違いなくルーキー世代の先頭を走る存在となっている。

 その実力を示すように昨年の徳山大会V。「ヤング戦で負けるわけにはいかないという気持ちがあったけど、引いた時点でエンジンもそんなに動いてなかった。先輩たちがいつも感じているプレッシャーを感じることができましたよ」と振り返る。

 今年はGⅠ3優出1V含む7優出1V。SGにはすべて出場し、6月からつグラチャンで予選を突破している。ただ、この近況については「あまり良くないですね。自分が思った調整をしても、全部逆にいっている感じで失敗ばかりしている」と渋い表情だ。

 それでも焦りの色はまったくない。「ちょっとしたきっかけがあれば〝流れ〟は一気にくるもの。だから、考えながら行動すること、それをやり続けることが大事。調整もそうだけど、自分の考えと一致したレースができた時に自信になったり〝流れ〟が変わったことは今までもあった。ヤングダービーがそのひとつになってくれれば、いいんですけどね」。

 早くからSG、GⅠという挑戦することでハイレベルの舞台で壁にぶつかり、試行錯誤を繰り返してきた。その中でリズムを崩すこともあったが、その度にしっかりと立て直してきた。この他の若手にはない経験の繰り返しが羽野の冷静さの源であり、強さの土台になっている。

 昨年Vで得た収穫について「1走を無駄にしないという点だと思う。1走1走をつなげて連覇できたら最高」と明かす。その強いまなざしは確実に〝タイトル防衛〟に照準を合わせている。